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モデルカーズ的こころ(67)

 今年も桜と共に55歳の春を無事に迎えることができた。ボクは満開の桜の花を見るのが何よりも好きだ。散ってしまった直後から、既に翌年の桜の季節が待ち遠しくてたまらない。それはある意味、ボクにとっての年中行事のようなものだ。しかし、確実にひとつずつ歳を重ねていくことの寂しさ、儚さがそれには常に伴っている。来年の桜は無事見られるだろうか、あと何回桜の季節を過ごせるだろうか、そんな思いも心の隅に巣食っている。振り返ればボクは一体どれだけの桜の季節を過ごしてきたのだろう。少年時代は桜並木の下に住んでいただけに、否応無しに毎年の春を桜と共に生きてきた訳だ。今でも庭で桜が咲くのが見たい、それがボクの願望のひとつでもある。何年か前に桜の苗木を買ってきて庭の片隅に植えたのだけれど、どうやら上手くは育たなかったらしく、今ではただの棒っくいになってしまった。ボクが死ぬまでに庭に立派な桜が咲き誇るのをずっと夢見続けているのだが、それはどうやら叶わぬ夢のようである。今でも「桜はいいやね〜」などと一人ごちては女房に気味悪がられている。
 倅も娘も結婚して家を離れたが、倅の部屋は次男と共用だった為、今では次男が我が世の春を満喫している。娘の部屋は「いつでも帰って来られるようにそのままにしておいてやる」などという親心など更々なく、今や梱包用の段ボール箱の山で埋め尽くされてしまった。なので我が家には既に娘の少女時代の面影など微塵もない。そんな感傷よりも日増しに娘の部屋へと増殖しつつあるプラモデルの細胞分裂を何とか食い止めねばならぬというほうが切実である。ただ、最近では買うといっても仕事か資料に必要なものしか買っていない。そして、どんどん惜しげもなく完成品にしている。なので当初の目論みでは次第に減っていく筈であったのだが、完成させてしまえば撮影から帰ってくるや梱包して仕舞うこととなって、むしろガサが嵩んでしまうようだ。今では「プラモはいいやね〜」などとほざいては女房を辟易させている。
 もはや「どうしても欲しいプラモ」というのも数えるほどしかなくなってしまったが(まだあるのかいっ!!…)、研究上では入手したいものとして尾高1/20ふそう4tトラック最初期版がある。実はこのキット、かなり奥が深い。個人的郷愁としては日模のマジックロケット、ダグラスDC-8、今井の水車小屋の、いずれも最初期版の箱だけが欲しい…「箱だけってあーた…」…タミヤ1/24ロータス30(スロットカー)はもはや諦めた。なにせ高価になり過ぎた。そう言えばコクピットを切り抜いてしまった当時買ったロータス30はどこへしまい無くしたのだろう…。早春の冷たい雨の日々にはそんなとりとめもないことをつらつらと考えている。(続く)

プロフィール

平野克己(ひらの・かつみ)

MC誌の最前線を長うお准将に託し現在はフリーランスの予備役として活動中。湘南鎌倉で猫的スローライフを提唱しつつ、国産プラモデル史の編纂に尽力する日々を送る。永年飼ったコブラ427S/Cを手放しMC(Motorcycle…Modelcarsではありませぬ)復帰を密かに目論む。自称昭和プラモ小僧の60歳。座右の銘は心情溢るゝ軽薄さ。

2014年10月

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