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2011年3月アーカイブ

昭和のプラモ歳時記「プラモ小僧走る」其の9

■三共ピーナツシリーズ

 三共/サンキョー(三共製作所)は1959年/昭和34年に設立されたプラモデルメーカーで、ソリッドモデルの航空機キットを数多く世に送り出したYMC模型製作所をその母体としている。黄色地に赤いVと三共の文字を組み合わせたブランドロゴは、'60年代国産プラモデル草創期の象徴として多くのファンの記憶に残るところであり、マルサン、三和と共に国産プラモデル黎明期の牽引者ともなった。サンキョーのプラモデルキット第一作は同年11月に発売された零戦52型(約1/100 80円)で、以後同シリーズとしてF102デルタダガー/F11F11Fスーパータイガー/F100スーパーセイバーも発売された。しかし、何と言ってもサンキョーの名を世に知らしめたのは1/150統一スケールによるピーナツシリーズであった。その名が示すように「小さく可愛い」ことをコンセプトに掲げたシリーズで、第二次大戦機を主に現用ジェット機までをも含み、戦闘機を2年余りの期間に50種ほどもモデル化した。当時の20円売りキャラメルに似たパッケージが用いられ、裏面がパーツ展開図風の組立説明図、蓋となる側面フラップ部分に次回作の予告がされているのが特徴であった。価格は30円を定番としたが、複葉水上機などパーツの多いものは35円、双発機など大型のものは40円と多少のばらつきがある。
 キットは現在の目で見てしまえば「それなり、それらしい」という程度でしかないが、朴訥とした仕上がりながらも特徴は捕らえられている。通常は胴体、主翼、尾翼、プロペラ、左右主脚、透明風防の7パーツ程度で、胴体も風防もムクの一体成型となっている。当然、コクピットやパイロットは備わらず、主翼下面の主脚収納部さえ凸モールドの筋彫りが施されているのみだ。パーツ相互の合いが良くないのは言うまでもなく、接着部分も現在のキットのように作り手に配慮がなされている訳ではないので、瞬着の無かった時代むしろ組み立ては難しかった。転写マークと称される水性デカールは国籍マークと精々が機体番号程度。アルミチューブの接着剤が付属し、のちに同じくアルミチューブ入り塗料1色がボーナスパーツとして追加された。
 マルサンによって鳴り物入りの幕開けを迎えた国産プラモデルだったが、実際にその存在を広く世に知らしめ、やがて絶大な人気の獲得に至る切っ掛けとなったのは、こうした駄菓子屋のプラモデルたちであった。とりわけ三共のピーナツシリーズはその先達となって、多くの少年たちをプラモデルへの扉の向こうへと誘った。そうした意味において三共ピーナツシリーズは国産プラモデル隆盛の最大の功労者とも言えるだろう。

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プロフィール

平野克己(ひらの・かつみ)

MC誌の最前線を長うお准将に託し現在はフリーランスの予備役として活動中。湘南鎌倉で猫的スローライフを提唱しつつ、国産プラモデル史の編纂に尽力する日々を送る。永年飼ったコブラ427S/Cを手放しMC(Motorcycle…Modelcarsではありませぬ)復帰を密かに目論む。自称昭和プラモ小僧の60歳。座右の銘は心情溢るゝ軽薄さ。

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