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2013年12月31日

ついにこの日を迎えました

 愛猫ジェムが逝った。まさに一年の最後たる大晦日の早朝、家内の腕に抱かれて静かに息をひきとった。1991年生まれであるから、享年22歳の大往生である。当該ブログを古くから閲覧して下さっている方、またモデルカーズを初期からご愛読下さっていた方なら、ジェムという猫の存在は多少なりともご記憶下さっているかもしれない。シャム猫のミックスで、仕事先の友人である静岡は焼津のワラシナ自動車(現ワラシナカーズ)の部品倉庫で生を受け、たまたま遊びに伺っていた時に発見されて私が貰い受けた。ジェムの名の由来はショールームのミニジェムの上でミーミー鳴いていたからである。以後、ずっと我が家で生活を共にして来た猫である。22年の間には様々な思い出が残されている。三度にわたる引っ越しや今ではそれぞれが独り立ちしていった子供たちの成長、多くの友人や仲間との出会いや別れ、そして何よりも私の仕事の栄華盛衰、それは沢山の移り変わりを共に過ごして来た。私が猫と暮らすようになる切っ掛けを作った最初の猫であり、私の最も愛した猫であった。
 街の喧騒とは無縁の大晦日の今日、私は独り静かにジェムとの日々を振り返っては噛み締めている。手のひらに乗るほどに小さかった幼少時代。一晩中炬燵で暖めて、二時間おきにオモチャの哺乳瓶でミルクを飲ませたこと。排便も排尿もどうしても巧くさせてやれず、お腹がパンパンに膨れ上がってしまい、半泣きになって動物病院に駆け込んだ夜中。獣医師の勧めで毎日野菜のお粥を煮ては食べさせた幼少期。私が出かけようとすると、玄関で「行くな」といつまでも鳴いていた若い頃。写真家の浅井慎平氏に写真を撮っていただいた壮年期。猫が居ることで泊まりの家族旅行など一度も行かれなかったが、それでも子供たち皆に愛されたジェム。あのこやキャルに先立たれても、ずっと我が家の家長猫として君臨し続けたジェム。ミックスとはいえシャムの血統ゆえに気高く、人や他の猫におもねる態度など一切見せなかったジェム。それでも私とだけはいつもアイコンタクトをしてくれて、決して目を逸らすことのなかったジェム。ペットフードよりも人の食べ物が好きで、アイスや生クリームには目のなかったジェム。完全に足腰が立たなくなり寝たきりとなってしまった死の数日前まで、私の帰宅を玄関で迎えてくれることを欠かさなかったジェム。それこそ飛ぶように階段を駆け上り駆け下りた若い頃から、這いずるように大儀そうな最後の最後までジェムのお出迎えは続いた。もう帰宅してもあの姿も声もない。
 小さな儚い命だが大きな存在であり、私にとってその喪失感は計り知れぬほどに大きい。命を見送ることは余りにも哀しく寂しいものだ。私はこれまでに多くの友人や猫を見送った。そして、いつか今度は私が見送られる番となる。この世に永遠などなく、ましてや不滅の命などない。だから人生は美しく愛おしい。

投稿者 平野克巳 : 2013年12月31日 13:46

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