趣味の総合サイト ホビダス
 

音は世に連れ、世は音に連れ

 仕事は無い。だから最近はとんとパソコンの前に座る事も無くなった。それでも永い習慣で就寝前には何とは無しについ座る。そこで音楽でも聴いて心と頭を休ませて寝ようと考える。音楽とは不思議なものだ。常に自分の想い出や回想とシンクロしていて、ありありとその時の事が甦ったりする。ボクにとって少年時代の記憶を呼び覚ますのはオルゴールによる"乙女の祈り"だ。恐らくゴミ収集車が鳴らしていたせいなのだろう。学校を休み、普段は居る事のない自宅で聴く乙女の祈りは、自分だけに与えられた特別な時間を象徴するようでワクワク感を彷彿とさせた。静かな下町の朝に流れていたあの乙女の祈りは、甘くて苦い少年時代の古びた想い出の味がする。ピアノが奏でる"エリーゼのために"には、鬱蒼とした樹々に囲まれた近寄り難い西洋館を連想する。ボクとは無縁な生活の響きであり私立小学校へ通うお嬢様を妄想する旋律だ。"Sleepwalk"を聴くと子供時代のあの街の風景が呼び覚まされる。Sleepwalkはサント&ジョニーのオリジナルだと記憶しているが、恐らくボクが覚えているSleepwalkはラジオから流れたものを聞き覚えたものだったろう。時代的にリッチー・バレンスだったかもしれず、なので今でもリッチー・バレンスのSleepwalkが一番好きだ。この曲は余り広くは知られていないようだが、レス・ポールやジェフ・ベックも演奏しているスタンダードな名曲だ。あのゆったりとした旋律が朴訥とした`50年代を連想させるのかもしれない。これに似た感傷を感じさせるのがザ・シャドウズ(クリフ・リチャードなしの...)の"春がいっぱい"だ。ただただこれらを聴くと「あの旧き時代」の風景がボクの脳裏を駆け巡る。
 しかしながらストーンズの洗礼を受けて以後、ボクは今もロック小僧であり続けているので、やはりそのジャンルを聴く機会が圧倒的に多い。そんなボクが最近はアート・オブ・ノイズやノーマン・ブラウン、ジョージ・ベンソンを聴いてから布団(ベッドでは無い。ボクの生活は和式なのだ)に入る。どうやら癒しを必要としているらしい。頭や心がくたくたに疲れているのだ。ただ、これは生活環境のせいで、歳のせいだとは思いたくない。猫の柔らかなにこ毛と温もり、そしてスムース・ジャズの穏やかな調べ、それだけが今のボクを支えているような気がしている。あー、ベレルの資料が少な過ぎる!!(笑)

プロフィール

平野克己(ひらの・かつみ)

MC誌の最前線を長うお准将に託し現在はフリーランスの予備役として活動中。湘南鎌倉で猫的スローライフを提唱しつつ、国産プラモデル史の編纂に尽力する日々を送る。永年飼ったコブラ427S/Cを手放しMC(Motorcycle…Modelcarsではありませぬ)復帰を密かに目論む。自称昭和プラモ小僧の60歳。座右の銘は心情溢るゝ軽薄さ。

2015年1月

        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

アーカイブ

 

趣味の総合出版社 ネコ・パブリッシング
Copyright © 2005-2015 NEKO PUBLISHING CO.,LTD. All right reserved.