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老体に鞭打つようなことはやめとこう

 夜更けの、あるいは夜明け前の東名高速、中央高速、もしくは首都高速を走るのが好きだった。何故あれほどにまで好きだったのだろう。その半分は仕事絡みだったとしてもだ。とにかくヘッドランプに照らし出された漆黒の高速道路が好きだった。ケータハム7だったりホンダNSXだったりジープだったり、たとえミッキートンプソンなどというショーカー用タイヤを履いているせいで、1.5車線を軽く蛇行してしまうようなコルベットでさえも、夜の首都高を飛ばすのは気分が高揚した。ただ走っているだけで楽しかった。だが今はもう駄目だ。とてもそんな気分にはなれそうにもない。歳のせいだろうかとも思うが、そればかりでもないのだろう。むしろ今なら、マツダ(人生初のマツダ車だ)ロードスターNB(ワタクシ的車歴においては最も高年式車だ...お笑いぐさである...)なので、遥かに安全快適に気分良く走れる筈である。NSXで180km/h以上でクルーズした記憶(もう時効だろう)も、今では単に恐ろしい。人はそれを堕落と呼ぶのだろうか。年齢的に棺桶に近付くほどに「棺桶に片足を入れる」のが恐ろしくなった。最愛のコブラ427を未だ所有していたなら、それも違ったろうか。それは正直分からない。ただクルマを取り巻く環境が余りに厳しく煩雑になってしまった現代に、ボクはもうついて行けなくなった気がしている。今でもドアを閉めコクピットに座れば気分は良い。それは変らない。ただ50になった時に反射神経の衰えを感じ、アベレージスビードを10km/h落とした。そして60になった時も更に10km/h落とした。今では公道は基本40km/hを心掛けている。だからロードスターのマフラーにカーボンが溜まる。たまにフルスロットルをくれてやると、1.8ℓでも「こんなに走るのね」と昨今のヤワなスポーツカーに感心する。そこで思う。昔のスポーツカーのように体感速度を楽しめれば老いた我が身でも楽しかろうに、と。中途半端に今風のクルマに乗っているので、低速域では不満もないが楽しくもない。よおし、もう一回コブラ買っちゃう? 無理だって。ありえねーって...。今じゃエアコンが効かねえ、なんて不満たれてる堕落者なんだから。

プロフィール

平野克己(ひらの・かつみ)

MC誌の最前線を長うお准将に託し現在はフリーランスの予備役として活動中。湘南鎌倉で猫的スローライフを提唱しつつ、国産プラモデル史の編纂に尽力する日々を送る。永年飼ったコブラ427S/Cを手放しMC(Motorcycle…Modelcarsではありませぬ)復帰を密かに目論む。自称昭和プラモ小僧の60歳。座右の銘は心情溢るゝ軽薄さ。

2015年6月

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