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永遠の模型青年よ今いずこ…

本当に若かった時分、よく友人と
「人生の黄昏れを迎える時の為に、何のプラキットを温存しておくか」を話したものです。
その一番人気は“レベル1/40ダグラス・スカイレイダー”でした。
レベルが“このキットに出来ないのは飛ぶことだけ”と豪語したオール開閉可動のデラックスキットでしたが、
組み立てが超面倒で絶望的に手間の掛かるキットだったからです。
「でも、その時は指先が震えて細かいパーツなんか組めなかったりしてな」
などと笑い合ったりもしたものです。でも、そうじゃなかった…指先より先に目に来るんです。
私の場合は30代で既に始まりました。老眼ですがね、ろ・う・が・んっっ!!

最初は照明が暗いのと勘違いして照明スタンドを2基にしたりもしましたが、
ようやく目の衰えに気付き眼科で老眼鏡を作りました。人生初のメガネです。
ようやくフォーカスは合うようになりましたが微妙なズームが効かない。
面相筆の動きに焦点の追い付かないもどかしさ。
昔は1/35兵士フィギュアの刺繍の文字を手描きしたのに。睫毛や虹彩を描き込んだのに。
今じゃ顔が見えない。だから私の作る近作フィギュアは泥人形……。
しかもメガネをかけると度は加速度的に進みますね。
最近はもっぱら100円ショップの老眼鏡の愛用者です(苦笑)。

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そんな五体不満足な私がまたぞろモーターサイクル・キットなんぞを作り始めました。
MC誌の新たな連載企画(乞うご期待っ!)の為の仕込みなんですが、
バイクモデルを作るのなんぞ20年振りくらいでしょうか。
久しくやっていなかったホイールのスポーク張りも、手慣らしも兼ねて1/6スケールから着手した次第です。
1/6ですからスポークは直径0.5mmほど。
昔の感覚からすると楽勝な筈だったのです…と、ところがああっ!
ピンバイスで開けた0.53mmの穴が見つからない…ステンレス線を握り締めたまま呆然とする私、矢切りのわたし、いつまで経っても駄目なわたしねえ~♪
これじゃ1/15のスポークなんて張れやしない…若い時には気付かぬものなんですねえ。

歳を取るのは良い事もありますが、同じくらい良くない事もあります。
「自分の身体が鬱陶しい」なんて感覚、解りますかあ? 羽のように走りたい…のに擬音にすれば“どべどべどべ”ですか……。
天然のピンセットだった指先からはポロポロとパーツがこぼれ、長時間根をつめて作業したいのに集中力は持続せず腰がギシギシと悲鳴をあげる。休み休み、の休む時間と回数のほうがずっと多い体たらく。
やっぱり少年時代と同じに、って訳にはいきゃあせんです…って当たり前か。
こりゃモデルのスケールを大きくして対処せにゃ。
飛行機なら1/24、戦車は1/15、クルマは1/12、そしてモーターサイクルは1/8(んあ?)。
しかし内容はその半分のスケールくらいにせんと…嗚呼、木偶人形や泥の船が出来てしまいそうだ。それでも構うもんかあ。とことんプラモデルと付き合ってやる。
たとえ泥の船が沈んで溺れる事となったとしても…って「オレはタヌキかあああーっっ!!」

お久し振りのクマ編です。あ…ご存知ない?歳取るわけだ…

鎌倉は銭洗弁財天の山中に住まわっています。
花が咲き蝶が舞う四季折々の此処の暮らしもはや10年が経ちました。
鴬の声をBGMに心穏やかな日々を猫と共に過ごしていると、
モデルカーズに携わっていた日々が遥か遠い昔のことのように思われます。
睡眠時間を極限まで削って原稿と格闘した日々。そんな私の邪魔にならぬようにと、
夜泣きする生まれたばかりの長女を抱いて、深夜の街頭を彷徨った妻にも
辛い日々であったことでしょう。それでも良い本さえ創れればそれで良かった。
全国で待っていて下さるMC誌愛読者の為に、正に身を削って書き続けました。
'84年の創刊から後進に道を譲るまで、その殆どをひとりでやり通しました。
それはそれは孤独な作業でありました。
しかし、そんな時代があったことは私の人生にとって何物にも替えがたい勲章です。良い時代でした。未だプラモデルが全盛を誇り、バブルの影響から高級メタルモデル、ウレタンモデルが覇を競っていました。
そんな中MC誌は何よりもメンタリティーを大切にしました。大人のホビー精神を提唱し続けました。それが実を結んだかどうかは私には分かりません。
今、貴方は技術の呪縛に捕われてはいませんか? 資料の抑圧に彷徨ってはいませんか?
高価だから、稀少だから、上手く作れないから、などとコレクターに身をやつしてはいませんか?
プラモデルが作りたくて作りたくて仕方が無かった、あの少年の時代の記憶を今一度思い出して下さい。
お金を払えば何でも手に入った、そんな幻想の時代は終わったように思います。
これからは原点に立ち返り、自分で工夫して、苦労して、楽しむことが大切なのではないでしょうか。
だからこそ改めて「今一度のプラモデル」を提言します。
既に半世紀以上を生きてきた私の傍らには常にプラモデルがありました。
それゆえに私の人生は幸せなものでした。そしてその思いは今も少しも変わりません。
そうした思いは私ひとりのものではない筈、ずっとそう信じて今も生きています。
もう一度プラモデルを手に取ってみませんか。
最新のモデルカー事情や話題については現編集長のなが魚くんに譲ることとして、
ここではプラモデルの話題を中心にした“快楽プラモ主義”を提唱していきます。
プラモデル雑学辞典として皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
湘南的風土と猫的怠惰をスパイスにした勝手気侭流プラモデル世界を大いに暴走し、
みんなで「えーぢゃないか、えぢゃないか、よいよいよいよい♪」と唱い踊ってしまいましょう!

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平野克己氏のブログ、まもなくです!

初代モデル・カーズ編集長にして日本プラモデル界の語り部、平野克己氏による模型小噺。
さあ、どんな話が飛び出しますか! 近々アップされると思いますので、ご期待ください!!

プロフィール

平野克己(ひらの・かつみ)

MC誌の最前線を長うお准将に託し現在はフリーランスの予備役として活動中。湘南鎌倉で猫的スローライフを提唱しつつ、国産プラモデル史の編纂に尽力する日々を送る。永年飼ったコブラ427S/Cを手放しMC(Motorcycle…Modelcarsではありませぬ)復帰を密かに目論む。自称昭和プラモ小僧の60歳。座右の銘は心情溢るゝ軽薄さ。

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